夏の夕暮れ   <人>

 Eventide 写真 - 無料イメージのダウンロード - Pixabay

 

「夏の夕暮れ」  作:タネダー

 

夏の夕暮れ

ビーチには 寂しい波のざわめき 焦げた線香花火

たくさんの人であふれる海で 水しぶきを上げたあの日は

どこに行ったの?

 

夏の夕暮れ

校庭の桜には もはや緑の面影はなく 根元の蝉はもう うるさくない

必死に木を登り かごを首かけせみを 探したあの日は

どこに行ったの?

 

邪魔をするものは何もなかった ただ夢中になって楽しんだあの日は

どこへ行ったの?

夏の日は沈み 秋の日は昇る

ああ そうか

もう夏は 燃え尽きてしまったんだな

 

 

夏の夕暮れ

部屋に残る 勉強机の書類の山と 食べ終わったポテチの袋と 空っぽの空気

この夏は永遠で 先のことなんて 考えてもいなかったあの日は

どこに行ったの?

 

夏の夕暮れ

薄暗い窓の向こうの 空っぽの公園 揺られるブランコ せっかちな秋風。

屋台が並んで 太鼓の音は鳴りやまず みんなではしゃいだあの日は

どこに行ったの?

 

だれにも止められなっかった 夢中になって楽しんだあの日は

どこへ行ったの?

夏の日は沈む 近づく冬の足音

ああ そうか

僕の夏はもう 燃え尽きたんだな

 

 

でも僕は気づく 僕は信じる

いつかは日は沈む そして明日には昇る また次の日 時は流れる

秋の夜明け 冬の夜明け 春の夜明け そして 夏の夜明け

もうあの夏は燃え尽きた でも新たな夏がやってくる 

きっと やってくるから